M-1 2022に折り合いをつけた話

M-1グランプリ2022が自分の中でようやく終わりました。

勝戦はとっくの前に放送されたけど、
結果を受け止められず自分の中で悶々とする日々が続いておりました。

このモヤを紐解き……落とし所を見つけられたので、
「折り合い」と称して言語化していきます。
「受け入れられないコト・モノがあった時に、
それでもなお自分の中に受け入れるための思考の着地点」
を折り合いと呼んでいます。

 

折り合い要約

 不満:優勝者選定と観客の反応に納得がいっていない
 折合:Youtubeは優勝者ではない組のネタが再生数トップになっている

 

不満点

不満:優勝者選定と観客の反応に納得がいっていない

ファンの方には「ゴメン」と思いつつ、
優勝者のネタでは笑えなかったので「優勝ちゃうやろ!」という気持ち。
お笑いのスタイル自体をどうこう考える前に、
ネタ自体を面白いと感じることができませんでした。
薄すぎて毒にもならないような悪口と、
2chコピペ集のような切り貼りされた構成と…。
要は”僕には合わなかった”だけの話なので、これはただのグチです。
自分に合わない人が選ばれること自体は何も問題はありませんのでね、
本当にただの感想。
※悪口ネタを聴いて「まあそうだよね」と違和感なく流している僕の方に問題があるだろ!と今気付きました

事実ベースでの不満を挙げると、
①審査員の優勝者投票の基準
Twitter上での反応の仕方
のあたりが自分の中で府に落ちませんでした。

①審査員の優勝者投票の基準
勝戦ファイナルラウンドは審査員それぞれが1組を選んで多数決する方式。
それまでの点数付け方式とは違って「この組が優勝!」と言い切るわけです。
まあ大会なので審査員がいて決定すること自体は当然で、
審査基準にバラつきがあったり審査員個人の感覚が用いられるのも当たり前です。
厳密な採点方式とかが定められているようではなさそうなので、
審査員が持っている暗黙知を用いて選定されることは既に折り合い済ですよ。
ただ、「採点に用いられた審査員の感覚」と、
「観客としての僕の感覚」との間に乖離がある時に不満が生じるのかな〜と。
実際に審査員が何を考えて選定しているかは明らかではありませんが、
「どうせこういう感覚で選ばれたんだろうな」
というギャップを伴った判断が見えた時に観客は冷めるのでしょう。
今回の審査員の発言を振り返ると、
「お笑いは本来は毒を含むものですから」という言葉がありました。
それが選定理由かはさておき、観客の思考としては
「どうせ審査員たちはポリコレを無視した昔のお笑いが好きなんだろうな」
という流れになるのもさもありなん。
まとめると、
「お笑いは本来は毒を含むものですから」という審査員の発言から、
(優勝者のネタを面白いと思った人は)「確かにそう!納得の優勝!おめでとう!」
(優勝者のネタを面白いと思わなかった人は)「そんな理由で選ばれたのか?」
という思考の分岐が起きているのかなと。
そして上記の通り僕は後者の感じ方だったので、そこで不満が生じたのでしょうね。
採点基準が感覚に依拠したものだと思われていると、
感覚的に合う・合わないかどうかで不満に繋がる構造があるのかなと考えました。

客観的な数字であれば自分の感覚と異なる評価があっても納得しやすいんですけどね…
というか採点基準(項目)が不明瞭、減点式か加点式かも審査員まかせ、
1組目からの相対評価で点数をつける…
という謎の大会なので、制度に関して疑問を持つのはやめています。

Twitter上での反応の仕方

M-1を見て批評してる観客!お前だよ!」
っていう毒の吐き方はよろしくないですね。
優勝者がネタの中で発していたセリフですが、
これのおかげでM-1優勝者に関して何かツイートすると、
「批評しちゃってるじゃんw」とリプで嘲笑するノリが生まれてしまったんですよ。
毒を吐くスタイルにも関わらず、
自分に対して放たれる矢には予防線を貼るセリフを用いるのはお門違いかなぁと。
それに便乗して批評コメントを嘲笑する観客が発生しているのも、
まるっと含めて言論弾圧とほぼ同じ構造になっていてヤバイです。
多分この投稿自体も「批評しちゃってるじゃん」の的なんですが、
思考の長さで勝てるので投稿しておきます。レスバしよう!

以上、事実ベースでの不満点でした。

 

折合 

折合:優勝者ではない組のネタが再生数トップになっている

M-1グランプリは予選から本戦まで全てYoutubeで公式から投稿されます。
ネトフリでも過去大会は観れるのですが、
Youtube版だとネタ中に審査員の表情に画面が変わったりしないので、
観るのであれば公式掲載中にYoutubeで観るのがオススメです。
ネトフリだとテレビ放送と同じくネタ中に審査員や上戸彩がカットインするので…

勝戦Youtubeに掲載されるのはテレビ放送が終わってからなので、
優勝者が誰かは分かった上で再生できます。
1ネタ1動画でアップされており、観たいネタだけ観れます。

そんなわけでYoutubeの再生数を確認していたのですが、
やっぱり優勝者の再生数がダントツで多い。
優勝したらしいし観てみよ!という人の多さがよく分かりました。

が、放送後1ヶ月くらい経ってから改めて確認すると、
優勝者ではない組のネタの再生数が飛び抜けていました。
勝戦ファイナルラウンド進出の3組のうちの1組であるものの、
勝戦1stラウンドの方のネタが優勝者よりも200万回以上多い数字となっています。
ネタ以外の要素でバズっているわけでないので、
「このネタをもう一度観たい」と思った人が多いのかなという(希望的予想)。
リズムネタがMAD化してバズを起こした組もいますがその数字とも異なります。

リピーターがこの数字に現れているとすると、
「審査員の感覚」「嘲笑するようなノリ」で選ばれたネタは、
「何度でもこのネタを観たいと思わせる内容」ではなかったと感じています。
大会が終わった後も何度も再生されるネタが、
本当の意味で愛されている、最も評価されるべき漫才だと思います。

まぁ大会なので、
勝戦1stラウンドでどれだけウケようが優勝には関係ないですが…
全ネタを振り返ってみた時、
ちゃんと数字に観客の評価が出ているというところで僕は折り合いをつけました。