折り込みパイ生地に憧れて

実はお菓子作りが趣味のカッパです。こんにちは。

最近はひょんなことからリンゴが大量に手に入ったので、アップルパイづくりに燃えています。カッパとパイ生地との戦いの歴史は深い。カッパーズアップルパイヒストリー、今およそ第3幕くらいです。

第3幕もあったかは分かりませんが、とりあえず振り返ってみましょう。そして次のアップルパイに活かすのだ。「振り返りたまへ」と、神の声が聞こえました。幻聴じゃないです。リンゴは何かが見えるようになるオクスリの隠語じゃないから安心してください。

 

第1幕「バターダダ漏れ事変」

そこに一匹のカッパありけり。カッパはアップルパイを作らんとすなむ。焼成したところバターがダダ漏れになり悲しむカッパの姿、いとあし。

古文がわかる方の頭を頭痛で痛めるような文章が生まれてしまった…。カッパは(ほぼ)古文未履修なのでその辺りは許してニュアンスで読んで欲しい。いまだに古文と古典の違いもよくわかっていない。カッパなのに。カッパなのに?

これはもうすでにタイトルで落ちてるんですが、要は生地の作りが悪かったために焼いた段階でバターが漏れちゃったということですね。何回か挑戦したのですがダメでした。型の底に溶けたバターが溜まってしまったり、バターが溶け出してしまって層にならなかったり……。なかなか難しいのです。

お菓子作りはPDCAを回すところが楽しみの1つでもあるのですが、アップルパイのようなカロリー的にも予算的にも重いモノはなかなか回転しづらいのも難点。失敗すると尚更食べてもらえないしね〜。なのでお菓子作りの中でもアップルパイは「作る機運」が高まった頃合いを幾年の流れを読んで掴まないといけません。第1幕は高校〜浪人〜大学くらいの間のことですね。いや長いな。

失敗の原因はおそらく「生地の折り込み」がうまくいかなかったから。パイ生地を作る時の流れをザックリ言うと(パイ風に言うならサックリ言うと)、

バターの塊を小麦粉の生地で包みこむ→薄く伸ばす→生地を三つ折りにする→薄く伸ばす→生地を三つ折りにする→薄く伸ばす→生地を三つ折りにする

という感じ。バターが小麦粉に包まれたままうす〜く伸ばされては折られては伸ばされと繰り返すことでバターと小麦粉の層ができるというわけです。コレを創った人は何から着想を得たのかも後世に残して欲しかった。もしかしたらあるのかも、調べよっと。ウヒョー。

で、この折り込みの何が難しいって「温度管理」なんですよ。生地をいじっている間は手の温度が伝わってしまうので、バターがゆるくなったために折り込み生地が破れたりするんですね。きっと。なのでできるだけ室温を下げたり生地とバターを冷やしておいたりする配慮が必要なわけですが、ま〜カッパの手は熱いんだわ。折り込んでいる内にみるみる生地が温まってしまう。それでも折り込みの途中で冷やしたりすればいいんですが……いやそうすればいいんだよな……なんでそうしないんだろう……言い訳しか思い浮かびません。神よ、許したまへ。

そんなこんなで折り込みパイ生地は難しい。難しいんだ。難しいということにさせてくれ。頼む。わかった?よし、良い子だ。

という事でアップルパイへの気持ちは打ちひしがれたわけですが、失敗した経験をそのままにしては神に怒られてしまいます。神だけでなく、レモンを入れすぎてしまって食べられないくらいに酸っぱくなったアップルパイを1人で処理したあの日のカッパにも申し訳が立ちません。人体って多分甘味とか辛味は上限がないと思うんですが、酸味はマジで臨界点があると思います。頭を雑巾絞りされるくらいにギュッと感じる酸味なんて、もう2度と生み出してはいけない。

とはいえ折り込みの難しさは身に染みているので、なんとかならんかと先行研究を読みあさっていたところ、カッパ・ゲット・ジ・光明。ハッピー。パイ生地の作り方は2種類あり、それまでやっていた折り込みの他にアメリカンパイという作り方があることを発見したのです。コレは折り込みを行わないパイ生地の作り方で、バターを切り崩して層を作るスタイル。今までパイ生地は折り込みでしか作れないと思っていたから、この時の衝撃は凄かった。しかし「切り崩してパイ生地にする」という仕組みが当時のカッパには全く理解できなかったのを覚えているので、恐らく今この説明だけで理解できている方は少ないと思います。もう少しだけ詳しく書くぞい。

粉の状態の小麦粉と冷えているバターを混ぜる→バターを切って潰す→バターを切り潰す→バターを細かくする→バターを切る→バターを…

切られて小さくなったバターを小麦粉が包んでいく感じで、最初は大きい一塊だったバターをとにかく小さくし続けていく作業です。やがてバターと小麦粉が人まとまりになるので、それが頃合い。フードプロセッサーがあるとすごく楽に終わるけど、なかったらドレッジ(ヘラみたいな道具)を使ってもできます。生地はこれでほぼ終わりで、薄く伸ばして型に合わせたら焼くだけ!

すごい!なんでこれで層になるの?イメージで説明すると、折り込み生地はパイの実で、アメリカンパイはスコーンです。伝わった?これ多分違う気がするな…スコーンあんまり食べたことないから見た目の印象で言ってるけど…。折り込み生地はパイの実みたいに層が何個も重なっているのが想像できると思うんですが、アメリカンパイはバターを切り崩して作るからそれと同じような仕組みではないのです。小さな小さなバターの塊が小麦粉の生地の中に何個も分散しているような状態で、それらが薄く伸ばされる事で1つ1つのバターの塊が薄〜く重なり層を形成するのです。説明ムズ〜。スコーンは忘れてください。布で言えば、水玉模様の布を引っ張ったら生地が伸びて水玉が薄く伸びるイメージですね。

この方法を試してからはバターが漏れることはなくなりました。もちろん製法が違うのでアメリカンパイ独特の感じにはなるのですが、パイはパイです。おいしけりゃオッケー!

かなり文字が多くなってしまった。う〜ん難しい。ちなみに第2幕はありませんでした。アメリカンパイ見つけたところから第2幕にすればよかったな。そういえばカッパは何かを説明するときにかなり言葉が多くなるタイプなのだということを再認識しました。う〜ん。誰に向けて説明してるんだろうか。ちょっと綺麗に終わりそうにないので、神に託そうと思います。

神「折り込み生地も作ろうね」

ホンマですか?